「セルフフットケア」〜足の爪ケアの仕方 深爪編〜
このコーナーでは、毎月、足のケア専門家・フットケアスペシャリストが自宅で3分簡単「セルフフットケア」法をお伝えしていきます。
第6号では、「足の爪ケアの仕方 深爪編」をご紹介します。
爪先の皮膚から離れた白いところは、爪甲遊離縁(そうこうゆうりえん-free edge)と呼び、爪が長く伸びると切る部分ですね。第4号でお伝えした足爪の理想的な長さや形状(https://www.beauty-up.jp/rensai/rensai5/4.html)は、指と同じ長さで、スクエアオフという形状でしたが、爪甲遊離縁をすべて残らず切ってしまうのが深爪です。深爪をすると、爪の周りの皮膚が盛り上がり、爪がどんどん皮膚の中に埋まってしまい、巻き爪や陥入爪(かんにゅうそう)という爪が皮膚に刺さり炎症を起こす原因になったり、指先に力が入りにくくなり、立った時に不安定になります。
足のケア専門家(フットケアスペシャリスト)がいるフットケアサロンでは、家庭用の爪切りで爪を深く切り込み、爪の両サイドの切り残しが皮膚に刺さり、痛い→炎症→我慢→どんどん切り込む の繰り返しをしている深爪さんのケアを専門的に行っています。皮膚の炎症がない時に、B/S Spange(ビーエス スパンゲ)というドイツ製の透明な爪補正板を爪に専用接着剤で貼り付けて、皮膚に深く入り込んでしまった爪を埋まらないように持ち上げます。その後に、バラのトゲのような形状になっている爪の切り残しを専用ニッパーでカットします。また、何年も深爪を繰り返し、爪が縮まって伸びなくなってしまった爪には、専用のジェルなどを使って、人工的に爪を理想的な長さや形状に作ることも可能です。皮膚に炎症があり、靴を履くのも辛い痛みがある場合は、皮膚科で治療する必要があります。医療機関やフットケアサロンに行く前に、自分で予防できるセルフケア法があります。
自宅でできる「深爪ケア」の方法を3種類ご紹介します。
1. 深爪テーピング
爪が皮膚に入り込んでしまい、なかなか伸びなかったり、爪の周りの皮膚が硬くなり違和感がある場合は、爪の横の皮膚にテープを貼り、爪から皮膚を引き剥がすように貼ってみましょう。テープは、ドラッグストアなどに売っている伸縮テープで構いません。テープ貼付後、引き伸ばすのは、テープの端から約1.5センチくらいまでとし、テープの端から端まですべてを強くひっぱり伸ばして指に巻きつけると、血流が悪くなるので気をつけましょう。 爪と皮膚が離れることで、食い込みが緩和し楽になることが多いです。
2. 綿棒で爪の周りのケア
長年深爪を繰り返していると、爪の周りの皮膚が硬くなったり、甘皮が溜まりやすくなり、爪の伸びが遅くなったり、爪が厚くなることがあります。綿棒に乳液などを塗布し、爪と皮膚の間に溜まった角質や汚れを優しく掻き出してみましょう。お風呂で足や爪周りをブラシで洗い清潔にしてから行うとなおいいでしょう。(第1回連載をご参照:https://www.beauty-up.jp/rensai/rensai5/post-42.html)
3. コットンケア
爪の皮膚の間を清潔な状態にした後に、米粒大のコットンを耳かきのようなもので隙間に入れ込むと、緩衝材となり、爪が皮膚に埋まらないようになります。コットンの量が多すぎたり、深く入れ込みすぎると痛みの原因になるので注意しましょう。また、長期間入れっぱなしも不衛生なため、こまめに取り替えましょう。
おわりに
深爪を繰り返している方は、是非試してみてください。
炎症を繰り返していたり、痛みが強い場合は、医療機関(皮膚科)へ思い切って足を運んでみましょう。 病院に行くほどでもない場合は、足のケア専門家(フットケアスペシャリスト)に相談してみましょう。爪の切り方だけではなく、足に合った靴選び・履き方の指導も丁寧に教えてくれるでしょう。
参考文献:
桜井祐子, サロンワークに役立つ実践フットケア, フレグランスジャーナル社, 2011
桜井祐子 yuko sakurai
足の専門店PEDI CARE 代表
足の専門校SCHOOL OF PEDI 校長
一般社団法人日本トータルフットマネジメント協会 理事長
一般社団法人足育研究会 経営企画委員 フットケア部会
筑波大学大学院人間総合科学研究科修了 体育学修士
足の問題を様々な視点から保存的に改善するために、ドイツ式メディカルフットケア ポドロギーをベースとした角質ケア、足爪ケア、巻き爪ケア、リフレクソロジー、ボディケア、インソール作成、靴調整などのトータルフットケアを提供するフットケアサロンを開設。足の専門家育成のために、医師・看護師・介護福祉士・セラピスト向けにスクールで指導にもあたる。著書に「サロンワークに役立つ実践フットケア」(フレグランスジャーナル社)。 NHK出演、書籍、雑誌執筆、講演多数、現在筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ医学専攻博士課程にてフットケアの研究活動を行っている。
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